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「れんげちゃん」のひみつ

 

■レンゲ農法の歴史


「レンゲ農法」は、昭和30年代中ごろまでは日本のいたるところで行われていました。しかし、第二次世界大戦後の食料不足で大量のお米が必要となり、政府は化学肥料を使用した栽培を導入し、生産量の増大を目指しました。このころから化学肥料全盛の時代となり、手間のかかる「レンゲ農法」はほとんど見かけることがなくなりました。
 結果、収穫量は増大したのですが、化学肥料の使用によって稲が病気になり、それに対する危険な農薬を使うようになっていきました。その農薬によって天敵である虫を撲滅してしまったり、田んぼの中の生物を死滅させてしまったりと、自然の法則を無視して環境を破壊していったのです。
 昭和も終わる頃、「これからの子どもたちには安全な米を食べさせてあげたい」という想いから、再び「レンゲ農法」を見かけるようになってきました。「レンゲ農法」が産み出すお米は、安心して食べられる伝統的なお米なのです。

 

■レンゲのパワーはすごい!


レンゲ農法とは、秋に田んぼにレンゲの種をまき、冬の間にれんげを育て、春に花を咲かせたレンゲを土にすきこんで肥料とする農法です。れんげは空気中の窒素を根に取りこんで貯め込むので、稲が必要とする窒素成分を含んだ元肥となり、土壌に力がつき強い稲を作ります。レンゲはマメ科の植物なので、根のまわりに「根粒菌」と言うものがあり、それが空気中の窒素を直接栄養にしてくれます。レンゲが肥料の役割をしてくれるので、化学肥料は一切必要はなく、100%有機質肥料です。レンゲ農法は栄養たっぷりで体にも環境にもやさしい農法です。

 

 

■阿久比米れんげちゃんの歩み

愛知県阿久比町(あぐいちょう)は知多半島のほぼ中央に位置しており、名古屋市の近郊ながらのどかな田園風景が広がる自然豊かな地域です。温暖な気候と肥沃な水田に恵まれる阿久比町は、古くから米の町として知られ、おいしいお米『阿久比米』として高く評価されています。

その恵まれた風土を利用し、レンゲ農法で特別栽培米の技術確立に向けた取り組みが始まったのは昭和63年。消費者に求められる「安心・安全なおいしいお米」を目指すべく、町をあげて5戸の農家から取り組みがスタートしました。立ち上げ当初はれんげの肥料分が多すぎて稲が全部倒れてしまったり、水を早く入れすぎてレンゲが発酵して根が焼けてしまったりとなかなか思うようにいきませんでした。しかし、他の地域へ視察に出向いたり、メンバーで研究を積み重ねたりすることで次第に技術を確立させていくことができました。平成4年には阿久比町の消費者団体「あぐいくらしの会」との交流が始まり、消費者との直接の情報交換がスタートしました。平成8年には農家が20戸まで増加し、「阿久比米れんげちゃん研究会」が設立され、さらに平成11年には「れんげちゃん」が商標登録されました。れんげちゃん研究会は平成13年に第5回環境保全型農業推進コンクールで農林水産大臣賞を受賞、平成18年には第35回日本農業賞集団組織の部で優秀賞を受賞いたしました。おかげさまで現在では多くの方から信頼をいただくことができ、今後一層「安心・安全なおいしいお米」を目指して研究・生産に取り組んでいきたいと考えています。

 

 

 

 

■れんげちゃんの特徴

 

 

①化学肥料を使わない土づくり

  米作りで最も重要となる土づくりは前年度の稲刈りが終了したところから始まります。稲刈り終了後、トラクターで土を耕し、そこへレンゲの種を全面に播きます。冬の間は寒くて生育が止まりますが、春になると活発に伸びだします。大きくなったらトラクターですき込み、土と混ぜ合わせてたくさんの栄養分を含ませます。レンゲは空気中にある窒素(空気中の80%は窒素)を体内に取り入れる力をもっていますので、レンゲ以外に肥料は必要ありません。人工的に作られた化学肥料は使わない、自然の有機質肥料100%の土づくりです。

②農薬使用回数を低減 

  原則として田植え時の育苗箱施薬1回、田植え時の水田除草剤1回の施薬となります。田植え後は施薬を行わないので、一般的な通常栽培の約50%以下の農薬使用に抑えられています。

③田植え・稲刈り

  田植えでは苗の本数を減らして苗と苗の間を広くします。するとイネ同士の根張りの競争が減るため根張りがよくなりイネがのびのびと生育します。さらに太陽の光が入りやすくなったり空気の流れがよくなったりするので、病気になりにくく健全な生育をしていきます。稲刈りでは適切な時期にイネを刈ることが重要なポイントです。刈り遅れはお米の割れの原因になったり、食味の低下につながったりします。刈り遅れがないように、天候と相談しながら作業のタイミング、段取りをとっていきます。

④食味管理

  食味計を導入し食味調査を行っています。食味計のデータと実際の食味、消費者の感想を参考に結果を分析します。その結果と栽培記録や気象条件、田んぼの特徴などを照らし合わせて原因を研究していきます。そのデータを生かして、次の年の米作りにつなげていきます。

 

⑤低温貯蔵

  できあがったお米は15℃以下で貯蔵します。品質低下を防ぎますので、年間を通しておいしいお米を食べることができます。